2026.05.05
なぎなたこうじゅ
なぎなたこうじゅ(薙刀香薷)は、シソ科の一年草で、山地の荒地や田畑のあぜ道などに自生する香り豊かな薬草です。穂の片側だけに花が咲く独特の花序が薙刀(なぎなた)に似ていることから、この名前がつけられました。爽やかでさわやかな香りが特徴で、飛騨の山地にも自生しており、秋になると野山でその姿を見かけることができます。古くから民間薬として夏の風邪や暑気あたりに用いられてきた、頼れる薬草です。
なぎなたこうじゅの基本情報
- 科名・属名:シソ科ナギナタコウジュ属
- 学名:Elsholtzia ciliata
- 別名:香需(こうじゅ)、シソクサ
- 採取時期:開花期(9〜10月)に全草採取
- 自生地:山地・荒地・田畑のあぜ道・山の開けた草地
薬効・効能
なぎなたこうじゅは、発汗・解熱作用を持つ薬草として古くから夏の風邪や暑気あたり(夏バテ・熱中症)の初期に使われてきました。体を温めて発汗を促し、熱を下げる働きがあるとされており、漢方では「香需(こうじゅ)」として知られています。
また、利尿作用により体内の余分な水分を排出し、むくみを和らげる効果も期待されています。香り成分には健胃・消化促進の作用があり、夏の食欲不振や胃の不快感にも役立てられてきました。抗菌作用や防虫作用もあるとされ、昔は虫よけとして活用されていた地域もあります。
- 発汗・解熱作用(夏の風邪・熱中症の初期)
- 利尿作用・むくみ改善
- 健胃・消化促進(夏の食欲不振)
- 抗菌・防虫作用
飛騨となぎなたこうじゅ
飛騨地方の山地や荒れ地に自生するなぎなたこうじゅは、秋の野山で出会える身近な薬草です。標高の高い飛騨では夏でも涼しい日が多いものの、暑い時期の発汗や体調管理に薬草を活用する文化が古くからありました。かつて飛騨の薬草師たちが夏の風邪や暑気あたりの手当てに用いてきた植物として、地域の民間薬の知恵に息づいています。
活用方法・使い方
薬草茶として
開花期(9〜10月)に地上部全体を採取し、束ねて陰干しで乾燥させます。乾燥した全草10〜15gを水500mlで煮出し、半量になるまで煎じて飲みます。爽やかな香りが口に広がり、夏の疲れた体を内側からすっきりさせてくれます。
薬草風呂として
乾燥させた全草を布袋に入れ、浴槽に浮かべて入浴剤として使います。湯に精油成分が溶け出し、香りとともに全身を温め、発汗を促してくれます。冷え性の方や夏の疲労回復にもおすすめの入浴法です。
採取・利用上の注意点
妊娠中の大量摂取は避けてください。薬草としての利用はあくまでも民間療法・伝統的な活用法であり、医療行為の代替にはなりません。発熱が続く場合や症状が重い場合は、必ず医療機関を受診してください。