2026.05.05
クズ
葛(クズ)は秋の七草の一つに数えられ、日本全国の山野に自生するマメ科の蔓性多年草です。根から採れる葛粉(くずこ)は和菓子や料理に欠かせない食材として親しまれ、根を乾燥させた「葛根(かっこん)」は風邪薬「葛根湯(かっこんとう)」の主原料として知られています。飛騨の山野にも広く自生し、夏から秋にかけて甘い香りの紫色の花が山を彩る光景は飛騨の秋の風物詩のひとつです。
葛の基本情報
- 科名・属名:マメ科クズ属
- 学名:Pueraria lobata
- 別名:クズカズラ、秋の七草のひとつ
- 採取時期:根(冬〜早春)、花(7〜9月)、葉(夏)
- 自生地:山野・土手・道端・林縁・空き地
薬効・効能
葛根(かっこん)に含まれるイソフラボン類やプエラリンは、血管を拡張して血行を促進し、筋肉のこわばりを和らげる効果があるとされています。葛根湯が風邪の初期症状に効くとされるのは、この発汗・解熱作用と、首や肩のこわばりを緩める働きによるものです。数千年にわたって中国・日本で使われてきた実績のある薬草成分です。
また、葛の花(葛花)はアルコールの代謝を助ける作用があるとされ、古くから二日酔いの予防・緩和に用いられてきました。胃腸の調子を整える効果もあり、身体の内側からコンディションを整える薬草として幅広く活用されています。
- 解熱・発汗作用(風邪の初期症状)
- 筋肉のこわばり・肩こりの緩和
- 葛花:悪酔い・二日酔い防止
- 胃腸の調子を整える
飛騨と葛
飛騨では古くから葛粉を和菓子や料理に活用してきました。山里の食文化において葛は身近な食材であり、吉城郡などの山間地域では葛を使った郷土料理の知恵が今も受け継がれています。秋の七草として詩歌に詠まれてきた葛の花が飛騨の山野に揺れる光景は、この地の自然の豊かさを象徴しています。
活用方法・使い方
葛湯(くずゆ)
葛粉大さじ1〜2をカップに入れ、少量の冷水でよく溶かしてから熱湯を注ぎ、透明になるまでよくかき混ぜます。お好みで生姜汁や蜂蜜を加えると飲みやすくなります。風邪の引き始めや胃腸が弱っているときに特におすすめです。体を内側から温め、やさしくケアしてくれます。
葛粉を使った料理・和菓子
葛粉はとろみをつける用途として和食全般に使えます。葛きり・葛餅・葛まんじゅうなど、和菓子の材料としても古くから親しまれています。片栗粉よりも透明感が高く、なめらかな仕上がりが特徴です。
採取・利用上の注意点
市販の葛根湯は医薬品ですので、用法・用量を守って使用してください。低血圧の方が大量に葛根を摂取すると、さらに血圧が下がる可能性があります。また、葛粉と片栗粉は別物ですので、薬草として利用する際は本葛粉(本くず粉)を使用してください。妊娠中の方は服用前に医師にご相談ください。